インフォームドコンセントについて3分でわかりやすく解説

    スポンサーリンク

    インフォームドコンセントとは「説明と同意」とも呼ばれています。

    患者に対して治療の説明が充分にされないことで起こった事件や、現代における問題点についての事例をあげながら具体的に解説していきます。

    目次

    インフォームドコンセントの意味

    インフォームドコンセントの意味・流れとしては以下の通りです。

    ①医師から患者に対して、治療についての十分な説明を行う。
    ②説明を聞いて理解した上で、患者が治療に同意する。

    つまり、患者さんが医師の説明に納得し、医師と患者さんがお互いに同意をした上で行う治療を決めるプロセスのことを言います。

    医師は患者が納得するまで、何度でも説明を行うことが義務付けられています。

    近年までは患者の病気に対する治療方法は、医師が一方的に決めて実行されていました。

    しかし、患者自身も意思を持つ1人の人間です。

    医師が一方的に決めると患者の自己決定権が尊重されないばかりか、患者側の理解がないまま治療を進めることで大きなトラブルに繋がりかねません。

    個人の意思が尊重される現代において、インフォームドコンセントは無くてはならない考え方とも言えるでしょう。

    スポンサーリンク

    インフォームドコンセントの歴史

    インフォームドコンセントが採用されるようになるのには、過去にどのような歴史背景があったのでしょうか。

    はじまりは第二次世界大戦中に医師達によるナチスドイツの非人道的な人体実験が、違法性であると裁かれたのがきっかけでした。

    被験者を1人の人間として尊重し、実験による健康への影響等について被験者に十分な説明がなされる必要性が訴えられたのです。

    その後も世界や日本でも医療過誤訴訟をきっかけにインフォームドコンセントの重要性が広まっていきました。

    例えば、アメリカでは、造影剤を使用したことで身体に麻痺が現れたことから、裁判に発展した事例があります。

    「造影剤の使用で麻痺の出現はあり得る」ということを医師が知りながら、患者側に説明を行わずに治療を進めたことが大きな問題になりました。

    この裁判がきっかけで「医師が患者に医療行為を行う際、必要な情報を伝えること」は医師の義務になり、説明がなかった場合は違反として責任を負うことになったのです。

    日本では、「エホバの証人」の患者が「手術中に輸血をしないように」と希望していたにも関わらず、救命の必要性があるとして術中に輸血が行われた事例がありました。

    医師側が患者の希望を知りながら「緊急時は輸血を行う方針」であることを十分に説明しなかったことが問題になり、裁判に発展しました。

    これは患者さんの「自己決定権」を無視し、一方的な治療を行ってしまった典型的な事例です。

    以上の事例等を経て現在の医療現場では、手術や検査・輸血などの治療の際、治療の必要性やリスクの説明と患者の同意サインを受け取るのことは当たり前に行われています。

    スポンサーリンク

    インフォームドコンセントのメリット

    インフォームドコンセントによって、患者と医療者間の信頼関係の構築に繋がります。

    丁寧な説明が行われることで、患者の治療に対する疑問や不安をできるだけ取り除くことができるのではないでしょうか。

    また、治療についての理解が深まれば、疑問を解消したり、セカンドオピニオンで他の医師に意見を求めることも可能になります。

    理解し行動することで患者自身も治療を受けることに対する責任を持つことができるのです。

    インフォームドコンセントの問題点

    医師が患者に十分な説明を行っても、実際には患者側が十分に理解できないまま同意して治療が進んでしまうケースが多々あります。

    「全て先生にお任せします」と言う患者も少なくはありませんが、実際に手術が行われた後、「こんな症状が出るなんて聞いてない」と主張される場合も多くあるのが現状です。

    ここで大腿骨を骨折し、手術となった患者を事例にあげます。

    医師と看護師、そして患者とご家族同席のもと手術前に行われたインフォームドコンセントです。

    この患者さんは人工の股関節を入れる手術となり、手術後の合併症の一つに足の痺れが出現する可能性について説明されました。

    説明を聞いた上で患者は治療に同意し、手術の同意書にサインをしています。

    手術後、手術部分の傷口の痛みのみで経過しましたが、数日後に手術をした方の足に痺れの症状が現れました。

    この症状に対して患者とご家族は「手術は失敗だ、責任を取れ」と大激怒し、裁判に発展しました。

    ①手術の同意書に「術後に起こりうる合併症」について記述あり
    ②医師の説明が行われたことが、カルテや同席した看護師側の証言から得られる

    にも関わらず、「聞いていない」と主張しているのです。

    患者側が手術に同意をしたもののリスクや合併症について十分に理解しておらず、大きなトラブルに発展してしまったことがこの事例からわかります。

    当然、リスクや合併症が自分の身に降りかかるとは思いもしなかったという患者も多くいます。

    患者側に治療の決定権があるにも関わらず、患者自身が決定権や自己の責任について理解していなければ、今後もこのようなトラブルは無くなりません。

    患者自身が治療に対して責任を持つという考えは、とても重要な要素なのです。

    医師の説明を理解することが大切

    インフォームド・コンセントとは、医療者が一方的に患者を治療するのではなく、患者自身も治療に積極的に参加するという考えであることがわかりました。

    実際にインフォームドコンセントを受ける時は、医師の説明を自身が理解し納得しているかを同意書にサインをする前にしっかり考えることが重要です。

    この記事の筆者は総合病院において勤務経験を持つ、看護師「まいさん」による記事です。何かのご参考になれば幸いです。※掲載内容に関しては最善の注意を払っておりますが、必ず自身でご確認ください。詳しくは「利用規約」をご確認ください。
    スポンサーリンク
    スポンサーリンク
    スポンサーリンク
    • URLをコピーしました!
    目次