医師になるには国家資格が必要なことは、広く知られていますが世間的にそれ以外に関しては不明な部分は多いのではないでしょうか。
・どのような人が医師になれるのか
・年齢制限はあるのか
・診療科ごとに資格は違うのか
・近所にクリニックはたくさんあるが開業に必要なことは何なのか
・平均年収はどれくらいなのか
今回は医師になるための道や医師免許を取得した後の働き方について、わかりやすく解説していきます。
医師になるためには
医師になるには「医師国家試験」に合格することが必須です。
医師国家試験の合格率は、
新卒で90%前後
既卒で70%前後
決して低くはありませんが、まずは受験資格が必要になります。
一般的に受験資格は、6年制の医学部系大学で卒業試験に合格していなければ得られません。
他に外国の医学校を卒業、外国の医師免許を保有する人が、厚生労働大臣の認定を得てから医師国家試験予備試験を受験し、合格後に1年以上の診療や実地訓練を行った後、医師国家試験の受験資格が与えられるという道もあります。
国家試験に合格後、直ぐに1人前の医師として診療が行えるわけではありません。
医師免許取得後、2年の初期研修、3〜4年の後期研修があり、研修医と呼ばれるのがこの時期の医師になります。
・初期研修:様々な診療科をローテーションし、指導医のもとで診療にあたる。
・後期研修:自分が進むと決めた診療科の専門医の指導のもとで診療にあたる。
医学部系大学へ入学してから、研修医としての臨床研修を終えるまでに11〜12年を要します。
高校を卒業してからストレートに進めても30歳を超えて、ようやく1人前の医師として働くことができるのです。
キャリアプランがしっかり固まっていないと難易度が高すぎる資格です。
医師の資格に年齢制限はあるの?
日本の法律上では、医学部を受験するための年齢制限も医師国家試験を受験するための年齢制限も存在しません。
ですが、前述したように1人前の医師になるには、11年以上の歳月が必要です。
年齢制限の無い資格とは言え、その後のキャリアを考慮すると、なるべく若い頃に医師免許を取得しておくのが望ましいことがわかります。
医師免許があれば何科でも診療できるの?
医師免許は、診療科別に取るものではありません。
例えば、耳鼻科で勤務する医師が整形外科の診療を行うことも法律上は問題ありません。
ただし、麻酔科医として業務を行うには規定の麻酔科研修を受け、厚生労働省から「麻酔科標榜医」の認定を受ける必要があります。
また、歯科に関しても別に歯科医師が存在するため、医師国家資格では歯科の診療は行えません。
歯科医師は、歯科系大学で6年の教育を受けてから国家試験の受験資格を得て合格後、「歯科医師免許」を取得しています。
医師免許では、「麻酔科」「歯科」の診療を行うことはできないが、他の診療科に制限は無いということです。
医師免許に種類はあるの?
医師免許は厳密には1つしかありません。
しかし、医師免許を得た後に各診療科別の学会が定める研修や試験に合格すると得られる、「認定医」「専門医」「指導医」といった認定資格はあります。
医師免許取得者は、どの科目でも診療行為ができますが、認定資格を持つことで、より専門性の高い医師と認められるのです。
医師免許に更新期間はあるの?
日本では、医師国家試験合格後、医師免許は永久資格になります。
2年ごとに住所・氏名などを厚生労働省に届け出る必要はありますが、免許更新のための試験などはありません。
犯罪などで行政処分を受けると医師免許の取り消しはありえますが、条件によっては再教育研修を受けることで、再免許付与申請を行うことも可能です。
開業医とは
開業医とは、「個人で診療所や病院を経営する医者のこと」で、一般的に町医者と呼ばれています。
基本的に「診療所開設届」が受理されると、正式にクリニックをオープンできますが、診療内容ごとの書類提出が数種類必要になります。
スムーズな開業を目指すためには、書類準備、どこで開業するかの決定、スタッフ集め、クリニック内装のイメージ等、事前の準備が欠かせません。
医師の平均年収とは
医師の平均年収は以下の通りです。
・開業医:3,000万円
・離島や僻地の病院や診療所:2,000万円
・民間病院の勤務医:1,200万円
・大学病院:1,000万円
・国立病院:800万円
働く場所や診療科、役職によっても異なりますが、平均すると1200万円超えになります。ボーナスも込みの金額ですが、やはり高給ですね。
さらに病院長にもなれば、3000万円近い年収になることもあります。
このように病院長や開業医などの、より責任の重い立場になることで年収が跳ね上がっていることがわかりますね。医師になってその後も医師として働き続けるには、相当な覚悟と労力が必要です。