国民健康保険や社会保険に加入されている方であれば、誰もが利用できる高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)をご存じでしょうか?
国民健康保険や社会保険の加入者が、手術や入院時に多くの方が申込まれる制度です。
実際にかかる医療費の具体例や費用の計算・申請方法、対象から外れる費用についてポイントをわかりやすくまとめてみました。
高額な医療費でも安心
私たち日本国民全員が、国民健康保険や社会保険等の公的な医療保険に加入しています。
そのおかげで実際の医療費の3割(0〜6歳・70〜74歳:2割、75歳以上:1割)を自己負担するだけで済みます。※2021年1月現在
しかし、手術等で100万円を超える高額な医療費がかかることになると、その自己負担額は30万円と高額になってしまいます。
そこで高額療養費制度を利用するのです。
1か月(1日から30日締め)の中で自己負担の限度額を超えた場合、その超えた分の費用を払い戻ししてもらえる制度になります。
この制度を知らない人でも入院時に病院側から説明してくれるケースが多いのでので詳しく聞いておきましょう。
自己負担上限額の計算方法
高額療養費制度を利用する方の所得や年齢によって、自己負担する限度額が異なります。
例えば、40歳の年収約700万円の方が医療費が100万円の請求になった場合で計算してみましょう。
70歳未満の年収約370〜770万円の方の自己負担限度額は
【¥80,100+(医療費-¥267,000)×1%】
が該当します。
計算してみると¥80,100+(¥1.000,000-¥26,700)×0.01=¥89,833
結果、100万円の医療費のうち8万9,833円が実質の自己負担額になることになります。※確定情報に関しては、自身が加入する国保や社保に必ずご確認ください。
高額療養費制度の対象外になるもの
高額療養費制度を利用しても全ての費用が対象になるわけではありません。
・入院した際の食事代・レンタルパジャマ・居住費、ベッド代
・保険適応外の医療行為(歯科のインプラント治療、不妊治療など)
・医療機関への交通費
これらは高額療養費制度の対象外ですので全額自己負担となります。
個室部屋等は有料になりますので注意が必要です。※病院施設によって料金が異なりますので確認が必要です。
高額療養費制度の申請方法
高額療養費制度を利用の際、治療後に申請する場合と治療前に申請する2つの方法があります。
治療後申請するパターン
治療・退院後、高額療養費制度を申請していなければ、医療施設の会計窓口等で医療費全額を支払う必要があります。
国保なら区役所や市役所等の役場で申請し、社保なら医療保険組合などの保険者(保険証を発行している組合、国保は市町村)に高度療養費制度の申請書を提出します。
申請書を提出後、限度額を超えた分の医療費が払い戻される仕組みになります。
もしこの制度を知らないで高額な医療費を支払っていた場合、2年前の医療費までは逆上って申請することが可能ですが、医療機関の領収書が必須になります。
高額療養制度の申請書ですが国で指定されたものではなく、各保険者で異なりますので自身の加入する医療保険のホームページ等で確認しましょう。
ちなみに窓口で医療費の支払い後、限度額を超えた分の費用が支給されるまでに2〜3ヶ月以上かかる場合があります。
治療前に申請しておくパターン
治療前に予め医療機関に認定証を提出し、治療後・退院時の会計において相殺して自己負担限度額だけを支払う方法です。
国保であれば区役所や市役所等の役場で申請し、社保なら医療保険組合などの保険者(保険証を発行している組合、国保は市町村)に限度額適用認定証の発行を予めしておきます。
入院時に病院窓口で限度額適用認定証を提出・提示するだけで大丈夫です。
この限度額適用認定証は、有効期限内であれば利用することができます。
手術日程等が決まっているのであれば、予め申請しておくと良いかもしれません。
最初に高額な医療費を支払わなくて済むので緊急手術等以外であれば、ほとんどの方が治療前に申請するパターンを選択されています。
保険者ごとに申請方法が異なりますので、事前に確認しておく必要もあります。